全日本の観光地へ
2001年4月に「ヤンバルの里」が奥区にオープン。もともとあった民具資料館はこの施設内に移り、新たに交流館としてスタートした。ここには奥住民の生活資料が展示され、衣食住から生産・生業に至るまで多くの民具を紹介している。常設展示室では戦前の貴重な生活用具など、約1500点を収蔵展示。
名護市には、かつて「森林資源としての価値はない」との烙印を押された土地があった。高台に位置する痩せ地で、わずかに蒔き取りに使用するだけであった。そして終戦を迎える。その混乱にもめげず先見の明を持つ者が、「山地を利用したお茶栽培を!」と立ち上がった。今では無数の茶葉が風に揺られている。
沖縄観光の楽しみは市場のおばちゃんたちとの会話のやりとり。慣れない方言を聞くと沖縄をさらに実感できる。近年、大型店舗に押される市場の話を聞くが、ここは全く無縁と思えるほど商店主の元気がよい。台に並ぶ商品はゴーヤー、ヘチマなどの青果類から名護漁港で水揚げされた新鮮魚が販売されている。
大きなダムを囲むように遊歩道や展望台が設置されているので、のんびりと散策ができる。そして、水資源とダムをテーマに3つのコーナーで構成したダム資料館では、昔からの水との関わりから、沖縄のダムの種類、沖縄の水環境をパネルや井泉・天水ガメの模型、マルチスライドなどでわかりやすく説明している。
県道からそれて、山の中をクネクネ登っていくと、広大な8角形のダム(池)がある。これが世界初の海水揚水発電所だ。夜間、海水をポンプで断崖の上にある池に汲み上げ、昼間、海水を落下させて発電させる仕組みになっている。施設内にはダムが見える展望台、資料館などがある。世界初の施設を見に行こう。
「碑の名を聞いてもピンとこない」そう思い訪れると、ひとつの石碑が東シナ海を向いて立っている。稲垣國三郎が名護城散歩中、老夫婦が松の青葉を燃やして白い煙を上げているのに出会った。遥か前方には1隻の船が黒煙を上げ、互いに色の違う煙を上げながら、老夫婦は送り、娘は別れを告げたといわれている。
碁盤型済井出村の完成を祝って植樹された記念木で、済井出公民館の南側に生育。その大きさと枝ぶりの美しさが、沖縄の青い空に一段ときわだっている。イチジク状の小さな実が熟れる4〜5月ごろ、メジロ、ヒヨドリの小鳥たちが樹上で賑やかにさえずる。地元の人は、その光景で夏が来たことを知るのである。
樹高18メートル、太さ4・5メートル、3〜6センチの実をたくさんつける、推定樹齢300〜400年といわれる県内最大のコバティシは、シクンシ科に属する熱帯性の高木。地元の人々に「フパルシ」と呼ばれ親しまれ、主に集落の集合所や墓地などに植えられている。沖縄県の天然記念物に指定されている。
宜名真集落にある高さ30メートルほどの断崖には、有名観光スポットの茅打ちバンタがある。多くの人が知らずに通っているそのバンタに向かう道は、通称「戻る道」として地元の人に知られている。今でこそ車で通れるが、昔は人がすれ違うこともできない狭道で、どちらかが必ず譲らなければならなかったほど。
国道58号を北上し与那トンネルを過ぎると、県道2号線に沿うようにして流れる清流「与那川」。上流から下流までは約3キロメートルで、そこにはテナガエビや小魚が多く生息している。週末には周辺の集落から水遊びや行楽に訪れる人達も多い。下流域の水深は浅いので、軽く足をつけて納涼気分に浸るのもいい。